拍手に質問が来たので返答を載せておきます。
送信者のお名前は伏せますがメッセージ内容は載せていく感じの方針です。
(あまりこまめに拍手をチェックしていないので、返信の機会を逸したものがありますがご容赦願います)
2017/11/13

2017-11-13

(11/11 拍手)同人誌の表紙を依頼しようと、契約書について調べてこちらのサイトにたどり着きました。絵仕事依頼の契約書文例、非常にわかりやすくて助かります。

一点、疑問点がありまして、素人質問で申し訳ないのですが教えていただけないでしょうか。
第11条(有効期間)、「甲乙いずれからも何らの意思表示もないときは、本基本契約と同一条件で更に1ヶ年間延長するものとし、以後も同様とする」

の点ですが、
延長の度に絵師様へ、第9条で示した対価をお支払いするという解釈で合っていますでしょうか。
あるいは契約締結時のみに発生する対価であり、更新料ではないため、
更新時の支払はないと考えるのか、この点ご教示頂ければ幸いです。

こんにちは、返答を書きます。
まず、参照して頂いた契約書文例なのですが、
こちらはソーシャルゲームのような「サービスが継続し続けるゲーム」において、
サービスで使用する「著作物(イラストなど)」の制作を社外の人
(会社単位でなければ単なる他者と考えてください)に依頼し、
その著作物をゲームの運営側が継続的に使用し続けるという事を念頭に置いた文面になっています。

ご質問いただいた方の状況としては「同人誌の表紙を依頼」したいとのことなので、
その表紙のイラスト(又はデザイン)を「使用」する状況が、こちらで載せている契約書とは異なっていることになります。

1.雑誌に載せる為の原稿を依頼し、制作してもらい、使用する
2.CDなどのジャケットに使用する為の原稿を制作してもらい、使用する
3.コンシューマゲームソフトの為の絵やデザインを制作してもらい、使用する
4.ソーシャルゲームに為の絵やデザインを制作してもらい、使用する
etc...

これらは著作物の「使用」の部分に置いて、契約内容が異なるというわけです。

とはいえ1/2/3はほぼ同じような「使用」の状況であると思われます。
質問いただいた方も上記1/2/3と同じような状態ではないでしょうか。

この場合、対価の支払が発生する機会は

「1.原稿の制作を依頼することに対する制作料」
「2.原稿を印刷物などに載せる、という<使用>をしたことに対する使用料」
「3.その原稿を再び<使用>することに対する使用料」


と考えられます。

3番の「再び使用する」は、

●出来上がった著作物を更に違う雑誌/書籍でも使用した、
●使用目的CDに使用し更に別のCDジャケットにも使用した、
●または本来載せる対象であった雑誌/書籍/CDを「再版した」

という場合が考えられると思います。
(これらについては必ず払うことと、という法律などがあるわけではなく、
それぞれの業界の商慣習に基づくことなので、正解を私のテキストに求めないでください)

というわけで、例えばデザインやイラストを他者に依頼して出来上がった同人誌が、
初版分を在庫して2年や3年残り売り続けたとしても、
その期間契約が延長されている、とは考えないと思います。

逆に飛ぶように売れて再版をかけるにつき、
謝礼程度のことを表紙制作者の方にするかどうかは… 
個人の良識の範囲内なのではないでしょうか。

よって上記のような著作物の使用のパターンについては
第11条(有効期間)については無くしても良いと思われる、
という回答です。

当契約書を「制作依頼の為の契約書」部と
「制作された著作物の使用の契約書」部にわけなければいけないという
認識は私自身あるのですが放置してしまっています。